古い民家で掘りごたつを見つけて喜ぶアメリカ人二人組がいる。日本の古い家が大好きな、人呼んで「空き家ハンター」。魅力的な空き家を見つけて外国人客に紹介するのが仕事だ。コロナ禍も落ち着いた今、空き家を買いたい外国人客が増えているという。二人は日本人も気づいていない埋もれた古き良き日本を探して全国を飛び回っている。
その一人、ひげが印象的なマットさんは英会話の教師として14年前に来日。日本の古い家に出会ってほれ込んだ。そして全国の空き家を見て回り始めたのである。マットさんは、見た空き家をリスト化していてその数は千件以上にもなる。何県、何市にどんな価格でどんな空き家があるのか一目で分かるのだ。
その空き家リストでビジネスをしようと考えたのが、いつもスーツ姿のアレンさん。会社をいくつも持つ起業家だ。マットさんとアレンさんが出会ったことで「空き屋ハンター」が生まれたのだ。実はアレンさんも日本の家が大好き。和風の一軒家を購入したほどで、日本文化の知識も豊富である。「お客さんも日本の典型的な家が欲しい方が多い」と、アレンさんは、「空き屋ビジネス」の狙いを語る。
そんなある日、都内在住のフランス人の客が内見にやってきた。外資系の会社に勤めていて妻は日本人だ。実は二人は結婚したばかりで、郊外の和風の家を探しているのだった。アレンさんは自身が所有する1950年代のイギリスの高級車ベントレーを操り、物件を案内する。
まずは埼玉郊外にある築50年の物件。屋根付きのガレージもある空き家。半年前まで高齢の男性が一人で住んでいたという。和室に入ると、客のフランス人が声を上げた。「雪を見る障子!」。アレンさんが「これは雪見障子ですね、私も大好きです」と返す。障子の下半分が窓のようにガラス張りになっていて、外が見える。畳に座って庭を眺めることができるのだ。
客は、他にも「土壁」や天井の細かい飾り細工にも興味津々で「希望に近い家ですね。修繕しなくても明日にも住めそうです」と気に入った様子。続いて向かった静岡県にある空き家では、二階の窓から見える景色に感動していた。そんな彼に「これが日本」とまで言わしめたその風景とは?
さらに空き家ハンターの二人は、この春から新しい取り組みも始めている。築35年の空き家を訪ねると、家に残された家財道具をあらため始めた。空き家に置き去りにされたものから二人にとってのお宝を探していたのだ。そこには二人の「埋もれた日本の良さ」を残していきたいという思いがあった。手に入れたたくさんの家財道具は一体どうするのだろう。ついていくと二人の新たな挑戦が見えてきた。
(2023年5月23日放送「news every.」より)
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2023/8/31 コミュニティ投稿